少子高齢化問題の原因と現状-影響を考慮した解決策

少子高齢化とは、出生率が低下する一方、平均寿命が伸びたことによって、人口全体に占める子供の割合が低下し、高齢者の割合が高まることをいいます。

少子高齢化は少子化・超少子化と高齢化・超高齢化が合併した状態で、対策は少子化対策高齢化対策にわけておこなわれています。

これから紹介していく少子高齢化の原因と問題点などを読みながら、みなさんの身近でおこなわれている対策について考えてみてください。

少子高齢化とは何か?将来の子供たちや私たち個人に与える影響はどのようなものか?想像を働かせることで、少子高齢化の影響が具体的にわかってくると思います。

では少子高齢化社会について紹介していきます。

少子高齢化問題の原因と現状

少子高齢化は、少子化社会と高齢化社会の合併症状ですので、原因と現状については少子化と高齢化にわかれています。原因については、次の記事を読んでください。

▶ 少子化社会の原因と現状

▶ 高齢化社会の原因と現状

少子化社会と高齢化社会には、それぞれ原因と問題点がありました。次は少子高齢化社会の現状と影響です。

少子高齢化の現状と課題

少子高齢化の現状と課題から紹介します。日本の少子高齢化の現状と課題について、総務省より次の報告があります。

(2)少子高齢化・人口減少社会
 我が国の人口については、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」における出生中位(死亡中位)推計を基に見てみると、総人口は、2030年(平成42年)の1億1,662万人を経て、2048年(平成60年)には1億人を割って9,913万人となり、2060年(平成72年)には8,674万人になるものと見込まれている。また、生産年齢人口(15~64歳の人口)は2010年(平成22年)の63.8%から減少を続け、2017年(平成29年)には60%台を割った後、2060年(平成72)年には50.9%になるとなるのに対し、高齢人口(65歳以上の人口)は、2010年(平成22年)の2,948万人から、団塊の世代及び第二次ベビーブーム世代が高齢人口に入った後の2042年(平成54年)に3,878万人とピークを迎え、その後は一貫して減少に転じ、2060年(平成72年)には3,464万人となる。そのため、高齢化率(高齢人口の総人口に対する割合)は2010年(平成22年)の23.0%から、2013年(平成25年)には25.1%で4人に1人を上回り、50年後の2060年(平成72年)には39.9%、すなわち2.5人に1人が65歳以上となることが見込まれている。
 このように、我が国は、今後、人口減少と少子高齢化の急速な進展が現実のものとなり、この中で新たな経済成長に向けた取組が不可欠である。

図表1-2-1-6 日本の人口推移
日本の人口推移
(出典)総務省「国勢調査」及び「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

少子高齢化は、このような現状と予測になっており、課題として経済成長があげられています。

少子高齢化の影響

少子高齢化の影響は、文部科学省より次の報告がされています。

1.少子高齢化の進展による影響

●社会への影響
 第1節で見たとおり、我が国の人口は今後長期的に減少し、少子高齢化が急速に進むことが予測されている。こうした人口構造の変化は、我が国の社会に大きくかつ幅広い影響を与えるものと考えられる。
 まず、人口に占める高齢者人口の比率が高まり、高齢者1人当たり生産年齢人口(15~64歳人口)は、平成16年現在3.4であるものが、2050年には1.5となり、年金・医療・介護などの社会保障負担の増大が懸念される。また、労働力人口(働く意思のある15歳以上の人口)は平成10年を境に既に減少に転じており、今後も減少し続けることが予測されている。また、目前の2007年には、これまでの我が国の経済成長を支え、社会の様々な側面に大きな影響を与えてきた団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が60歳に差し掛かり、以後、労働市場から徐々に退出していくことが予測されている。人口構造から見た我が国の社会は、これまでと全く変わった姿となることが予想される(第1-1-4図)。
 また、道路、空港、港湾等の社会資本ストックについては、人口減少により一人当たりの社会資本ストックが増え、ゆとりが生じるとの見方もあるが、高度経済成長期に形成された社会資本が今後十数年で更新期を迎えることなどから、維持管理・更新投資が大幅に増加すると見込まれている。
 地域社会に目を転じると、これまで高齢化は主に地方において進展してきたが、今後は都市部においても高齢化が進展するものと予測されている。既に高齢化の進んだ地方での地域社会の活力の維持、今後都市とその近郊で多くの高齢者が退職し地域社会に戻ることに伴い、都市の機能や高齢者と地域との関わり方などが変化していくことも考えられる。

少子高齢化の進展による影響

このように社会的な影響が大きいことが報告されているのですが、経済的な影響もあります。

少子高齢化・人口減少の経済的影響

平成9年の報告では、少子化の経済的な影響について次のように述べられています。

(2)少子高齢化・人口減少が経済に及ぼす影響

 一国の経済を成長させる源泉は、労働投入量の増加、資本投入量の増加及び技術進歩等による全要素生産性(TFP:Total Factor Productivity)の成長に分けられる。このうち、今後迎える少子高齢化・人口減少の影響として、まず直接的には、労働力人口の減少を通じた労働投入量の減少が考えられる。次に、高齢化によって退職世代が増加することが予測でき、貯蓄を行う年齢層に比べ、取り崩す年齢層が増加することを通じて、一国全体の貯蓄が減少することが考えられる。これは投資に回る資金が減少することを意味し、将来の資本ストックの成長を阻害する可能性がある。
 このように、今後の少子高齢化・人口減少社会は、労働投入量の減少と資本ストック形成の阻害を通じて経済の供給側にマイナスの影響を与え得る。しかし、その影響の程度は、その国の経済成長の原動力が何であるかに依存する。例えば、労働集約的な経済であれば少子高齢化・人口減少による労働投入量の減少は、経済成長に大きくマイナスの影響を与え得るし、逆に資本集約的な経済では、労働投入量の減少ではなく資本ストックの形成阻害の影響の方が大きな影響を出すかもしれない。
 そこで、以下においては我が国における人口動態の変化による労働力の減少と貯蓄の減少が、経済の供給サイドへ及ぼす影響について検討を行う。

〔1〕労働力の減少の経済的影響

(我が国の労働力人口の推移)
 まずはじめに我が国の労働力人口の推移を見ていこう。総務省「労働力調査」によると、我が国の労働力人口は1955年に4,194万人であったものが、総人口の増加に伴って1998年の6,793万人まで増加を続けてきた。しかし、この時期の景気の悪化等を受けて、1998年をピークに現在に至るまで減少に転じている。また、2002年の厚生労働省推計によれば、今後の労働力人口の推移は、高齢化と総人口の減少によって、2025年に6,296万人となり、1998年のピーク時から約500万人減少することとされる(第3-1-9図)。

労働力の減少の経済的影響

〔2〕貯蓄率低下の経済的影響

 上記において、これまでの我が国の経済成長は、労働投入だけで規定されるものではなく、むしろ、資本蓄積とTFPの貢献が大きかったことについて見てきた。しかし、少子高齢化・人口減少は、労働力の減少にとどまらず、資本蓄積にも影響を与え得る。すなわち、「ライフサイクル・恒常所得仮説」13に従えば、一国全体の人口構成の高齢化は家計貯蓄率の低下をもたらし、その結果、将来的な資本蓄積を阻害する可能性がある。

貯蓄率低下の経済的影響

少子高齢化は、労働力の減少と貯蓄率低下という経済的影響を与えることがわかります。

現在、広い地域で過疎化・高齢化が進行するなど、顕著化しているところがありますが、資料(出典)を読むと、私たちの家計にも大きな影響を与えることがわかりました。

個人への影響については、気になることが書かれていましたのでご覧ください。

少子高齢化社会による個人への影響

個人での対策で最も重要なのが、自分の身は自分で守ることですが、次の報告が気になります。

1995年から家計調査年報に掲載された無職高齢者世帯の貯蓄率の動向について見てみると第3-1-15図のとおりである。貯蓄率は大きくマイナスを示しており、貯蓄を取り崩していることが分かる。これは、退職した高齢者が貯蓄を取り崩している状況を推測させるものであり、我が国においても一定程度ライフサイクル・恒常所得仮説が妥当している可能性を示している16。したがって、今後の少子高齢化・人口減少社会においては、高齢者の就業割合が増加しない限り、急速な高齢化は、高齢者の貯蓄が取り崩され、我が国の家計貯蓄率を押し下げる要因となり得る。
少子高齢化の気になる影響

報告から、現在の状況が続いていけば、私たちは高齢者になっても働き続けないと生きられないことが想定できます。

最初に紹介した高齢化社会の原因と現状から、“高齢者の貧困と認知症”というショッキングな現実がわかりました。日本の現状からも、私たちは貧困に陥る可能性があることを突きつけられています。

現実からも、個人の対策として、老後を考えて貯蓄をしておかなければ、貧困に陥ることがわかります。

現状と影響を考慮した解決策

少子高齢化社会は個人にも大きな経済的影響がありました。これまでのことを考えると、現状と影響を考慮した解決策が必要になります。

個人の場合ですが、貧困に陥らないためのお金(貯蓄)と地域(周囲の人たちと)のつながりです。老後を考えた貯金をしておかなくては、病気になり働けなくなれば貧困に陥ります。

地域のつながりは、地域活動(市民活動やNPOなど)に参加するなどして自分のネットワークをつくっておかなくてはいけません。人との交流は日々の生きがいにもつながると思います。

情報が共有されなくなると、助けてくれる人もなく、事故や事件に巻き込まれたり、孤独死の危険性も高まります。自分と地域をうまく結び付けていくことが大事だと思います。

国の対策は、個人の事情まで考慮できない(差別になる)ため、自分にできる対策をしていくことが、現状と影響を考慮した解決策と言えるのではないでしょうか。

個人の場合は以上のような対策が考えられますが、各個人が実施することで、ひいては国全体への影響も抑えられると思います。

次は、論文等もあるので参考にしてください。

少子高齢化に関する論文等

少子高齢化に関する小論文やレポートなどは下記より閲覧できます。

▶ 少子高齢化論文
▶ 少子高齢化資料
▶ 少子高齢化図書1 ▶ 少子高齢化図書2
▶ その他レポート等

まとめ

少子高齢化とは、人口全体に占める子供の割合が低下し、高齢者の割合が高まることでした。日本は、今後も少子高齢化が進んでいくことが予想されていました。

少子高齢化は社会的影響が大きく、社会保障負担の増大、社会資本の維持管理・更新投資が大幅な増加、地域社会の活力の維持、都市の機能や高齢者と地域との関わり方などが変化していることなどの影響があらわれていました。

労働力の減少にともなう経済的影響もあり貯蓄率低下は国の財政だけでなく個人にも影響をおよぼすものでした。国の対策は万全ではないため個人の対策も必要なことがわかりました。

将来的には増税のほかにも個人的な負担が増えることも考えられるため、自分にできる現状と影響を考慮した解決策に取り組み、貧困に陥らないようにする必要がありました。

少子高齢化問題と人口減少問題は関係があります。あなたのまちは大丈夫でしたか?

まだ消滅する市町村を知らない人は、下記よりお読みください。

▶ 地方消滅-人口減少の影響で消える市町村-896自治体一覧